大松秀雄(おおまつ ひでお)

 農事組合法人旭愛農生産組合 代表理事
 農事組合法人大松農場 代表理事
 あさひ村株式会社 代表取締役
 株式会社スプリングファーム千葉 代表取締役

 

 

 

 

▼昭和17年生まれ。20歳前後の数年間、今で言う拒食症で病臥する。通常の医薬品も摂取するがほとんど箸も持てなくなり周囲から密かに諦められるまでに至る。万策尽きて伊豆の断食道場に投宿。2週間断食ののちの玄米がゆが体中に沁み込み、ギリギリの生命力を実感、蘇生する。起死回生のその経験から穀物と野菜にいのちの原点を観る。従来の稲作では経済が十分でないと考えて庭先養鶏から始める。生活クラブ生協の誕生とともに、依存しきらず、取引に終わらず、よき切磋琢磨の産直が伸びる。

▼田んぼを重視する父との確執を招くも、水田を埋めて鶏舎を広げてゆく。この間、自らの自然食体験から、抗生物質を排し、鶏舎のウィンドウ・レス化に乗らず、飼料は合成されたものでなく自家配合を確立する。塩は自然塩、カルシュウムには魚、酵母に加えて緑餌、そしてなによりも主となる大量のコーンを無農薬、ポストハーベスト・フリーのコーンにするため米国農家と提携して成功。日本ではじめての取り組みを、農業団体や多国籍企業とともに’89年より実施。全国の安全飼料普及のさきがけとなる。通常はコスト低減のため卵を産み始めるころの成鶏を仕入れるが、雛を自ら育てる育雛も実行。その温度管理と育雛技術もわが国のさきがけとなった。養鶏羽数は6万羽を超える規模まで拡大したが、近年は、高品質、高収益の適正規模に移行中である。販売先は生協、一般問屋、商店、宅配、直売等。鶏糞を堆肥に完熟発酵させる施設も早期に備えて、田畑に還元し、米・野菜等作物を卵とともに共同販売。再び飼料にも活用する地域循環農業を提唱し実践。地元の旭市だけでなく、東総地域に組合員を広げて化学肥料や農薬に頼らない、「生きた土」に建つ営農を支えてきた。

▼大松氏のビジョンは具体化されて多くの人々が生産・消費ともども関わっている。この根底には「食は命なり」という原体験があり、経営上のノウハウを超えた、氏の自然観と美意識は見逃せない。日本はおろか世界中の農地・生産組織そして実践者との交流、人間交流によって現代社会の生命を見失いつつある課題と世界情勢について驚くほど的確な把握・分析を朴訥に語る。近在では変わり者と呼ばれながらも、その真価はむしろ、より公の機会で発揮され近年は、全国農業法人協会の発起人・監事、千葉県農業協会会長、全国農業協同組合刷新諮問委員、ちばエコ推進委員、千葉県試験機関評価委員、農水省、農林公庫、全国農業会議などの諸会議にその自然観にもとづく経営観の披瀝を求められ続けている。国内、世界各国から若者を育成している。今後は大地に生きる人たちのサロンを提供し、食事や宿泊、会議、子供たちのサミット、歌や文化の集いを世界に開かれた、かつさりげない豊かさの提案開示に期す。

▼農産の楽しみはおいしい食事。観念だけではなく、いつでも、何処でも、誰もが実感できる豊かさ。平和である。

文責:佐藤 文彦

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